2026.08.13

翡翠色のトリトマ*グリーンジェイドと過ごした10年

 夏の庭で、ひときわ涼しげに立っている花があります。翡翠色の蕾をつけたトリトマ、「グリーンジェイド」という品種です。

 トリトマといえば燃えるようなオレンジ色を思い浮かべる方が多いと思います。私もそうでした。この色に出会うまでは。

 この記事では、2015年に一株だけ迎えたこの花が、10年かけてどう育ってきたかをご紹介します。

クラフトフェアで出会った、一株の苗

 2015年頃、クラフトフェアの一角で苗を売っているコーナーがありました。そこで一株だけ買って帰ったのが、この「グリーンジェイド」です。

 当時の私はトリトマといえばオレンジ色しか知りませんでした。だから、翡翠色という珍しい色に心を惹かれて、そのまま連れて帰ったのです。

翡翠色の蕾から白い花へと咲きあがるトリトマ「グリーンジェイド」

植える場所は、日当たりと風通しのよいところ

 置き場所は日当たりのよいところを選んでいます。あわせて風通しのよい場所が適していると感じます。

 うちでは、まわりの草花と一緒に植えていますが、株のまわりが混み合いすぎないようにしています。

それから10年。株分けをして、5つに増えました

 あれから10年が経ちました。一株だった苗は徐々に大きくなり、途中で一度だけ株分けをしています。

 5つに分けたそれぞれも、今ではだいぶ大きな株になりました。ゆっくりですが、毎年確実に大きくなってくれます。

株分けは、春の暖かくなってから

 株分けをしたのは春、暖かくなってからです。

 やり方は、スコップで株全体を掘り上げてから、剪定ばさみで切り分けました。根が太くしっかりしているので、手で裂くよりも刃物のほうが確実です。

 秋にもできると思うのですが、山形の秋はとても短くて、すぐに寒くなってしまいます。根がしっかり張る前に寒さが来てしまうので、うちでは春にしています。

 もっと暖かい地域であれば、暑さがやわらいで過ごしやすくなった秋でも株分けできると思います。お住まいの地域の秋の長さで、判断していただくのがよさそうです。

株から何本もの花穂が立ちあがるトリトマ「グリーンジェイド」の株姿

手はほとんどかかりません

 うれしいことに、この花にはほとんど手がかかりません。私がしているのは、枯れた葉を取って風通しを良くするくらいです。

 雪国の庭ですが、雪の下でそのまま冬を越してくれます。掘り上げたり、覆いをかけたりといった特別な冬支度はしていません。

 水やりも肥料も、基本的にはしていません。植え替えた直後だけは、根づくまで水をやることがありますが、根づいてしまえばあとは任せきりです。

 うちの庭は草マルチをしています。刈った草を土の上に敷いておく方法です。それが少しずつ分解されて、肥料代わりになってくれているのだと思います。

春いちばんの仕事は、雪でつぶれた葉を取り除くこと

 ひとつだけ、毎年かならずしている作業があります。

 雪の下で冬を越すぶん、雪が溶けたころには、下敷きになっていた葉が溶けたようにぐったりとなっています。そのままにしておくと、その葉が新しい葉が出てくるのを、くっついたように邪魔してしまいます。

 なので春の早い時期に、その葉を取り除いています。これをしておくと、新しい葉がすんなり伸びてきます。

 ほかに気をつけることも、難しいこともありません。とても育てやすい植物です。

蕾から花へ、色が移り変わっていきます

 咲くのは7月の下旬ごろです。夏の盛りに、庭の一角が翡翠色になります。

 花が咲くと、花穂の先は私の顔のあたりまで来ます。私の身長は160センチなので、1メートル半近い高さです。遠くからでもよく目立ちます。

 この花のいちばんの見どころは、色の移り変わりだと思っています。

 蕾は爽やかな黄緑色。それが下から咲きあがるにつれて、白くなっていきます。一本の花穂の中に、翡翠色から白へのグラデーションが生まれるのです。

 オレンジ色のトリトマとも、まるで異なる独特の存在感があります。夏の庭に立っていると、そこだけ空気が涼しく感じられるようです。

トリトマには、いろいろな呼び名があります

 トリトマは別名の多い植物です。シャグマユリ(赤熊百合)、クニフォフィア、トーチリリーなどと呼ばれます。

 オレンジ色のトリトマは、まさしく「トーチリリー」=松明の百合という名前がぴったりです。それを思うと、翡翠色のグリーンジェイドがいかに変わり種かがわかります。

まとめ|10年前のあの日、これを選んでよかった

 手はかからない。雪の下で冬を越す。ゆっくりだけれど確実に増える。そして夏の庭に、ほかにはない涼しげな色を添えてくれる。

 10年前のあの日、これを選んでよかった。毎年この時期になると、しみじみと眺めながらそう思います。

 クラフトフェアで何気なく手に取った一株が、10年後の庭をつくっている。庭の楽しみは、こういうところにあるのかもしれません。

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この記事を書いている人

雪国で、季節の花があふれる庭を育てています。
もうひとつの仕事として「あしあとアトリエ」という名前で、 大切な家族の姿を絵や動画にして残すお手伝いをしています。

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